Kayo Mimizuka

フェイクニュース、ファクトチェック、ジャーナリズム教育に関する海外の情報を発信しています。

海外のメディアリテラシー教育、ターゲットは10代 米国の試み

前回は、メディアリテラシーを10代から教える欧州の試みを紹介しましたが、2016年の大統領選以降「フェイクニュース」の問題が注目されているアメリカでも、ネット上のうそにだまされない方法を教えようという機運が高まっています。老舗新聞社からネットメディアまで多様な報道機関が協力しているほか、Eラーニング教材の普及でも一歩先を行っています。   

・欧州編はこちら:海外のメディアリテラシー教育、ターゲットは10代 欧州の試み

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Photo by Tirza van Dijk on Unsplash

主要メディアが協力「The News Literacy Project」

ABCニュース、AP通信ブルームバーグ、CNN、BuzzFeed ーー 。メディアリテラシー教育に取り組む「The News Literacy Project (NLP)」には、テレビ局や新聞社、ネットメディアまで、約30の主要メディアが協力パートナーとして名を連ねています。

NLPは、ロサンゼルス・タイムスの元記者が設立した非営利団体。2009年からボランティアのジャーナリストたちが、ネット上の嘘と事実の見分け方について中高生に授業を行ってきました。

米大統領選に関連する偽ニュースがネット上で問題となった2016年には、checkologyというEラーニングプログラムを開始。情報の分類方法、噂を見抜くスキル、アルゴリズムなどについてのレッスンがあり、これまで米国内外で10,000以上の教育関係者が登録し、生徒たちが活用しているといいます。

8-10週間かけて実践的に学ぶ「アフタースクール(放課後)プログラム」や、自分たちで授業を構築したい教育機関へのコンサルティングも提供。今後はスペイン語の授業やモバイルアプリの開発も予定されています。

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キャプチャ:https://twitter.com/TheNewsLP/status/946828184774987778より

NYT、13-19歳の「メディアリテラシーチャレンジ」

老舗のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)も取り組みを進めています。

同紙は1998年から「The Learning Network」で学習用教材やコンテンツを無料提供していますが、サイトによると、フェイクニュース問題への対応法については「これまでにないほど教員からの質問が多い」といいます。

NYTが始めた新しい試みが、13-19歳にニュース消費について主体的考えてもらう「Media Literacy Student Challenge」。①自分がどんなニュースにどうアクセスしているのかを、最大48時間調査 ②より良いニュースの読み方、入手方法について考える ③アイデアをエッセイまたはビデオにまとめるーーの3段階タスクに生徒が挑戦し、全米メディア・リテラシー教育協会(National Association for Media Literacy Education)のスタッフが審査します(現在、応募は締め切り済)。

メディアの知識があると、だまされにくい

実際、メディアやニュースが作られる仕組みについて理解している人は、偽情報にだまされにくいことを示唆する研究も行われています。

米イリノイ大の研究では、約400人を対象に、ネットに流れる噂や陰謀論を信じる傾向と、メディアリテラシーの関係性を調査しました。

ニュースやメディアに関する知識が豊富な人ほど、「オバマ元大統領は米国生まれではない」「ワクチン接種と自閉症には関連がある」といった情報を信じる割合が低く、保守派とリベラル派に共通してこうした傾向が見られました。自分の政治的信念に近い内容でも、同様の結果でした。

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Photo by Matthew Guay on Unsplash

 

アメリカでは、メディアリテラシー教育を後押しする法整備の動きも出始めました。次回以降のブログで紹介したいと思います。